【センター試験の大学院入試版:GRE subject physics】 Practice bookの問題演習1
日本では,95%を超える高校進学率から分かるように,高校生活を経験したことが世間一般となっている.
例えば,ドラマやアニメで高校生が主役の作品が多い.
これは,精神的にも最も重要な時期であることも要因だが,高校生活は誰もが経験しているので共感を得られやすいという事があるのだろう.
さて,近年では,そんな高校生の卒業生に占める大学進学者数の割合は,50%近くになっている.
そんな大学入学の際に受験する可能性が高い試験が,「大学大学入試センター試験」である.
どんな問題か知らない人は過去問が公開されている.
基本的には択一式問題であり,高校内容が範囲となっている.
さて,このセンター試験は,大多数の人が受験する大規模統一試験であり,各科目の基礎ができているかをチェックする問題となっている.
この大学院入試版の試験がGRE subject physics(物理分野)である.
択一式の問題で,大学学部内容の基礎を問われる試験である.
しかしながら,この試験はアメリカで使用される制度で,日本の大学院入試は各大学ごとの入試問題を解く形式となっている.
すなわち,センター試験のようなものはなく,初めから記述式の二次試験を受けるようなものだ.
したがって,記述式なので考える問題が多くはなるが,センター試験のような基礎ができているかを確認するためには不適正ではある.
以下にGRE subject physicsの出題範囲を記す.
『概要
試験は、図やグラフ、実験データ、物理的状況の説明などを題材にした5択問題約100問で構成されています。
試験の目的は、受験者が基本的な原理をどの程度理解しているか、またその原理を問題解決に応用する能力があるかどうかを判断することにあります。
ほとんどの問題は、学部の最初の3年間の物理学を習得していれば答えられます。
試験では主に国際単位系(SI)が用いられます。試験問題集には、さまざまな物理定数とSI単位間の変換係数を表す情報の表が掲載されています。
試験委員会は、全国の物理系学部のカリキュラム調査をもとに、主要な内容に対するおおよその出題率を設定しました。この割合は、典型的な学部課程において各トピックが相対的に重視されているという委員会の判断を反映しています。これらの割合は、各コンテンツカテゴリーに含まれる主要なサブトピックとともに、以下に示されています。各カテゴリーにおいて、テストに含まれる小項目は、重要度が低い順に記載されています。
テストでは、ほぼすべての問題がこのリストに記載された内容に関連していますが、ここに明示的に記載されていない他のトピックに関する問題が出題されることもあります。
2020 年 9 月以降に実施される物理テストでは、トータルスコアに加えて 3 つのサブスコアが算出されます。(1)古典力学、(2)電磁気学、(3)量子力学と原子物理学です。サブスコアの基準となる問題は、テスト全体に分散して配置されており、個別に表示されることはありませんが、1つのコンテンツエリアから複数の問題が連続して出題されることがあります。
出題範囲と比率
古典力学 - 20%
運動学、ニュートンの法則、仕事とエネルギー、振動運動、固定軸を中心とした回転運動、粒子系の力学、中心力と天体力学、3次元粒子力学、ラグランジュとハミルトニアン形式、非慣性参照枠、流体力学の初歩的な話題など
電磁気学 - 18%
静電学、電流と直流回路、自由空間の磁場、ローレンツ力、誘導、マクスウェル方程式とその応用、電磁波、交流回路、物質中の磁場と電場など
光学と波動現象 - 9%
波の性質、重ね合わせ、干渉、回折、幾何学的光学、偏光、ドップラー効果など
熱力学と統計力学 - 10%
熱力学の法則、熱力学的過程、状態方程式、理想気体、運動論、アンサンブル、統計的概念と熱力学量の計算、熱膨張と熱伝導など)
量子力学 - 12%
基本概念、シュレーディンガー方程式の解(平方井戸、調和振動子、水素原子を含む)、スピン、角運動量、波動関数の対称性、初等摂動論など
原子物理学 - 10%
電子の性質、ボーアモデル、エネルギー量子化、原子構造、原子スペクトル、選択規則、黒体放射、X線、電界・磁場中の原子など
特殊相対性理論 - 6%
入門概念、時間拡張、長さ収縮、同時性、エネルギーと運動量、4元ベクトルとローレンツ変換、速度付加など
実験方法 - 6%
データおよびエラー解析、電子機器、計測器、放射線検出、計数統計、荷電粒子の物質との相互作用、レーザーおよび光干渉計、次元解析、確率および統計の基礎的応用など
専門トピック - 9%
原子核・素粒子物理学(例:原子核の性質、放射性崩壊、核分裂・核融合、反応、素粒子の基本的性質)
凝縮系物質(例:結晶構造、X線回折、熱的性質、金属の電子論、半導体、超伝導体)
その他(例:宇宙物理学、数学的手法、コンピュータの応用)
テストを受ける人は、物理学における特定の数学的手法とその応用に精通している必要があります。このような数学的手法には、単変量および多変量微積分、座標系(直交座標、円筒座標、球座標)、ベクトル代数およびベクトル微分演算子、フーリエ級数、偏微分方程式、境界値問題、行列および行列式、複素変数の関数などがあります。これらの方法は、様々な内容のカテゴリーに関連してテストに出題されることがあり、また、上記の専門的な話題のカテゴリーの中の数学だけに関する問題が時々出題されることもあります。』
この大学院入試版のセンター試験であるGRE subject physicsを解説していこうと思う.
問題は,上記の公式サイトで誰でも見れるPractice bookの問題を使用する.
では早速,第1問の解説をする(全100問).
1.合力FAは物体Aに作用し,合力FBは物体Bに作用している.物体Bの質量は物体Aの質量の2倍であり,物体Bの加速度も物体Aの加速度の2倍である.FAとFBについて正しいには以下のどれか?
力Fと加速度a,質量mの関係を思い出そう.
力と加速度は質量を比例係数として線形関係で表される.
F=ma
したがって,加速度が2倍になれば,力も2倍になる.
この問題では,物体Aの質量をmとすると,物体Bの質量は物体Aの2倍より2mとおける
また,同様に物体Aの加速度をaとすると,物体Bの加速度は2aとなる.
従って,力はそれぞれ
FA=ma
FB=2m・2a=4ma
よって,
4FA=FB
となる.
A.(E)